――Rain

悪い夢

「…、……っ」


鈴の居る部屋に
すっかり慣れた頃だった

相変わらず不機嫌で
相変わらず自由気まま
そして
相変わらず野良猫


「…ひっ、っく…ぁ」


夜も暗さを超えて
明るみを帯びようとしているときに
小さな声で目が覚めた

それは闇の隙間に居て
注意しなければ消えてしまいそうな
声というよりは息に近いものだった

すつかり温かくなった毛布をはぐり
ベッドから床に足をつける

何の音だろう?

冷たい空気
視界を奪う黒
黒、黒
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