――Rain
「…あ」


その彼と目が逢った

カラーコンタクトなのか、瞳は真っ赤だった

そして瞳には温もりが無く、意志も無いように見える

そんな目を見るのは初めてだった


「…なに?」

無愛想な声が響いた

ニコリともしない
しかし、敵意も無い

どうしたらいいか分からずにいると鈴はしばらくこちらを見てから、興味なさげに目線を外した

「あっ、あのっ…」

聞こえるのは雨と声くらいだ

恐ろしく静か

怖いくらい、綺麗

「雨っ!
濡れるから、こっちきて雨宿りでもしたら?」

鈴はまたこちらを見た

もう今更雨宿りなんか意味が無いきらいに鈴はずぶ濡れだったんだけど…

「雨に濡れるの、嫌じゃないんだ」

鈴は澄んだ声で言った

「そっちこそ、なんで雨から逃げるの?怖いの?」

誘うように鈴は小さく口角をあげた






こんな人間、初めて見た
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