――Rain
マンションの3階に上がる

突き当たりの303号室は他と同じ作りだったが見慣れたドアのように感じる

「散らかってるけど、とりあえず入って。えーっと…名前は?」

尋ねると鈴はこちらを見上げた

鈴の方が身長は小さかった

「鈴」

小さく言葉を発した

男の子のような女の子のような中性的な顔立ちで、名前にピッタリだと思う

「響きのいい名前だね、どの字を書くの」

「…ちりんちりん鳴る鈴」

鈴はそう言ったが、凛とした鈴といった方がピタリとくると思った

綺麗な顔立ち
華奢な体
長い睫毛

なんだこいつ、本当に人間か?


「風呂入りなよ
そんなずぶ濡れじゃ部屋も濡れるから」

くるりと部屋を見渡す鈴に声をかける
警戒してるのかしてないのか、全く感情が読めない

「勝手に連れてきたの、そっちじゃん」



自分でもバカげているとは思ったが、思わず鈴の腕を掴んでいた

あまりに細くて驚いた

「雨は怖くない」

鈴が絶対零度の目をまっすぐに向けてくる

「だけどこのままじゃ風邪ひくだろ?
部屋すぐ上だから、シャワー貸すよ」



まるで捨て猫でも拾った感じだ
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