――Rain

所持品

シャワールームに入った鈴のためにバスタオルや着替えなんかを用意した

「あーあ。床びっちょびちょ」

鈴の脱ぎ捨てたシャツとジーンズがフローリングの床に水溜りを作ってる

やっぱり雨宿りに誘ってよかった、と思っていた

シャツを拾い上げ洗濯かごに移す

同じようにジーンズをかごに移そうとして、ゴトッと重い音がした

鈍い音に驚き音のする方を見ると黒い重たそうな塊がフローリングに寝転がっていた

「………これ…?」

「触るな」

頭にクエスチョンマークを大量に浮かべつつ塊を拾い上げようとすると背後で鈴の声がした

ピシャリと冷たい声に感じた

そして鈴のその声には、後頭部に感じる冷たい金属のオマケつき

「…本物見るの、初めて?」

鈴が他人事みたいに乾いた笑顔を浮かべてる

本物っていうのはつまりこの黒くて冷たくて重い塊のことですか

「拳銃」

鈴はポツリと言葉を発する

窓を叩くのは大粒の雨だ
< 5 / 18 >

この作品をシェア

pagetop