試恋
「・・・?」
出て来ない。
もう一度押す。
誰もいないんかな?
そして、もう一度押す。
「……」
――ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン
電車を乗り継いで数時間かけて来たのに誰もいないんかよ!
さっきまでの不安な気持ちなど忘れて連打でインターフォンを鳴らしていると。
ガチャっと音を立て目の前の扉が開いた。
「浩一!!連打で押すなって前にも言ったろうが…、あ゙?」
出て来た“男”と目が合った。