試恋
互いに唖然。
それもその筈。目の前にいるのはお互い敵対している“大将”だ。
間違えるにしてもこんな偶然ってあるのかよ?!
そうこうしているうちに、落ち着きを取り戻した奴がガンを飛ばしてきたので、反射的にあたしもガンを飛ばし返す。
ヤベえよ。“間違えた”って言いづらくなっちまったよ。
「喧嘩で勝てねぇからって家(ウチ)を狙うなんて劉鳳‐リュウホウ‐はセケえなあ?」
そう言い、鼻で笑う男。
はぁぁあ?
今の言葉は、流石にこの平穏なあたしでもカチンと来たぞ!
「調子乗ってんじゃねェぞ!頂烏‐チョウウ‐なんざあたし一人で潰せるわ!!!」
「んだと?」
そんな一触即発のこの状況に終止符を打ったのは。
「リョウちゃ~ん?誰だったの~?」
可愛らしい女性の声だった。