火星より愛を込めて
1 何でも屋 MAC

ガダルカナルシティ

 いつのことか、少なくとも未来。

 どこか、恒星国家ソル第3惑星地球の首都、南海に浮かぶ島ガダルカナル。

 そのガダルカナルシティ第23エリアB・11に位置するモルタンビルの地下10階。

 そこに、マック商会のオフィス、つまり事務室兼応接室兼社長室兼寝室兼台所兼食堂兼トイレ兼バスルーム兼倉庫、があった。

 その真ん中に腰を据えている大きな、たった1つのデスクに、1人の男が座っていた。

 茶のライディングブーツを履いた長い足をデスクに投げ出して、正面の大型パネルスクリーンに映っている立体映画を見ている。最近流行りの宇宙戦争物である。

 赤や青、緑などのレーザーやブラスターの光が、薄暗い室内に乱反射していた。

 実物大の遠隔操作模型に低出力レーザーやブラスター、威力の極めて小さなミサイルを搭載させて、本物の宇宙空間で戦闘させているので、それなりに迫力があった。

 映画の時代設定は、地球文明圏で言うところの『大航海時代』。

 古き良き時代という奴だ。

 その頃は、真空中でレーザーの光条が見えたらしい。まったく良い時代だ。

 男はそんな下らないことを考えながら、意外と熱心に見ていた。

 そして、丁度、敵の大型戦闘艦が、主役の駆る戦闘艦にやられて、爆発(!)するところだった。

 不意に甲高い電子音が鳴り響いた。

「ちっ、今いいところなんだが…」

 その男は、足をデスクの上から降ろし、隅にあるコンソールパネルを操作した。

 すると、パネルスクリーンの中央が4角く切り取られ、中年男の映像を結んだ。全体的に角張った顔形をしていた。銀縁の4角い眼鏡がよく似合う。
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