火星より愛を込めて
 そこは都市の地下を巡るプレートリフターの発着場になっていた。

 マックは、溜まっている1台に乗ると料金を払って郊外へ向かった。

 プレートリフターが静かに動き出す。

 手摺に寄り掛かり、ちらりと後ろを見た。1台に3人ほど乗り込んで付いて来ていた。数は3台、十人程か。

 人気もなく、こちらが気付いているのを知っている為、行動が大胆になっている。

 数分でプレートリフターは止まった。

 マックは、急いで発着場を出た。

 目の前に火星最大の火山、標高27キロのオリンポス山の雄姿が夕闇に赤く照り光っていた。

 そこは見渡すかぎりの荒野だった。

 背後には半地下式のオリンポスシティが人工クレーターの中から僅かに顔を出している。発着場の出入り口がドーム状の小屋となってガレ場に口を開いていた。

「ここならいいだろ、さて、歓迎の準備だ。ストレス溜まってるからな」

 マックは、こきりと肩を鳴らして手近な岩の影に回った。

 ほぼ同時に、発着場の出入り口から黒ずくめの人影の1群が吐き出された。

 発着場を壊すと後々面倒なので全員が出揃うまで待った。

 数は14、全員黒い戦闘服を着込んでいた。

 周囲は街からの明りとプレートリフター発着場にある照明で結構明るい。

 14人の内、1人だけ粒子ビーム砲を持っている。あとは、SMGタイプのレイガンだった。

「ようし、全員出揃ったな」

 マックは様子を窺い、出入り口の小屋から展開し始めたのを狙って、岩影からKV・320を連射した。

 エネルギー・カートリッジを使用しているため、連射性能が高い。

 最初の1撃で、3人が倒れて銃撃戦が始まった。
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