火星より愛を込めて
「な、なんだあ?」

 粒子ビーム砲を持った男が、その余りの派手さに言った。多分、この男がリーダーなのであろう。

「ふっふふふふ、驚いたか、お遊びはこれまでだ!行くぞっ!」

 マックは呆然と立ちすくむ男達に調子に乗って言うと、その場所から、10m程飛び上がった。

「ふ、ふざけやがって!たかがプロテクタースーツだ、撃て!撃て〜ぇ!」

 黒づくめの男達が、マック目掛けて撃ち捲った。

 鮮やかなルビー色のレーザーが乱反射し、マックに集中する。

 しかし、それらをことごとく躱し、反撃に転じた。

〈2万クレジットの埋め合わせ、ここでつけてやる!〉

 どうやら、まだ2万クレジットの事を根に持っているようである。

「ビームソード!」

 マックがそう叫ぶと、両腕に装着されている板上のアームプロテクターの先端から、青い光が伸びた。そして、地面に降り立つついでに、黒づくめの1人へ、その青い光をすっと振り下ろした。

「!」

 その男は、声にもならない悲鳴を上げたかと思うと、身体が、脳天から股間に掛けて綺麗に裂け、そのまま左右に分れて倒れた。

「うっ!」

 それを見て、吐き出す者もいた。

「さぁ、死にたい奴は前に出な!」

 マックは、完全に調子付いて、回りを半包囲しているEIGの私兵たちに言った。

 この間見た古い子供向け映画に感化してしまったかなと、言いながら思ったが、まぁいいかと納得した。

 男達は、今の惨殺で怖じ気付いたのか、かかって来ない。どうやら、こういった実戦は初めてなのだろうか、まったく、企業の兵隊は…、それとも……。
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