火星より愛を込めて
 マックがそこまで考えを進めた時、彼の背後で、何か動く気配がした。

 EIG社製パワードスーツ、PS・3スカウツであった。

 その鈍重そうな見掛けによらない優れた静粛性と素早い動きで、マックの背後に回ったのであった。

 スカウツのショックキャノンがきらめいた、マックは、反射的にその場所を移動した。

 今まで立っていた地面が、物凄い粉塵を上げて砕けた。

「ちっ、嘗めるなよぉ〜っ!」

 マックは、スカウツに向かってダッシュした。

 ブラスターキャノンから吐き出される電子火球とショックキャノンの指向性の極めて強い衝撃波が、マックの動きに集中する。

 が、その1歩先をマックは動き、その全てをことごとく躱し、スカウツの懐へ入り込んだ。

「う、うわああああ〜〜!」

 スカウツのパイロットは、自分より反応の早いマックの動きを捕捉しきれず、半狂乱になって、火器管制システムのトリガーを引き捲った。

 マックは、両腕のビームソードでスカウツの胸部装甲を切り付けた。

 シュン、と外部塗装が蒸発する音がしただけで、ビームソードのブレードは虚しく拡散した。
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