火星より愛を込めて
「ちっ、対電磁防御処理か!」

 マックは、悪態をつくとビームソードを収め、素早く左腰についている菱形の飾りに手を当てた。

「ロングソード!」

 叫ぶと同時に飾りが対角に開き、中から30センチほどの柄と1mほどの針状のものが飛び出す。右手で柄を掴み様、振り下ろしてきたスカウツの右腕をそれで受けた。

 細い針上の部分で、太い丸太のようなスカウツの右腕を支えてしまった。

 そのまま外側へ弾き、マックは軽くジャンプ、そして振り上げたロングソードを袈裟掛けに振り下ろす。

 針状の部分の回りに淡く輝く無色透明の物質が滲み出て、刃渡り2メートルほどのブレードを形作っていた。

 そのブレードが易々とスカウツのブラスターキャノンのジョイント部分から潜り込み、中のパイロットごと右脇腹まで断ち切った。

 そのままスカウツは薄青い流動体とパイロットの鮮血を吹き出しながらその場に崩れた。余剰エネルギーが赤いスパークとなってスカウツのボディを一瞬包み、パイロットごとシステムを丸焼きにした。

「ちっ、撃てぇーっ!」

 今まであっけに囚われていたリーダー格らしい男が叫んでロングソードを構えたままのマックに粒子ビーム砲を撃ち込んだ。

 残る3人も、レイガンをフルオートでマックに集中させた。

 流石にここまで生き残っただけはあり、砂塵で赤く乱反射して突き進んでくるレイビームは、正確にマックを捕捉していた。
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