火星より愛を込めて
 イーグルは、ジャッカルの艦載機である。全長13mばかりの小型機だが、潜在能力は20mクラスの物に引けを取らない。そして、ミニッツは、全長5m程度の高機動無人戦闘ユニットで、自前の電子頭脳と脳波コントロールで動く。

 対するにEFC・102は、EIG社の小型戦闘艇で、通称〈ウインガル〉と呼ばれている全長10m程の運動性重視のドッグファイトタイプだった。

 そして2機の30m級機動戦闘艇、これはEIG私設軍用のオリジナルらしく、タイプデータはなかった。小さいながら、火力は駆逐艦並みのものを備えているようだ、とBEMが形状特徴から推論した。

 ジャッカルの操縦室を出たマックは、突き当たりのエレベーターで2階層下りて、出た通路を直進、船首格納庫にぶち当たる。

 マックは、固定してあるイーグルのコクピットに攀登ると、縦列になっているコクピットの前席のシートの上に置いてあるイーグルのシステムと繋がっているヘルメットを被り、シートへ滑り込んだ。

 シートがマックの身体を包み込むように膨らみ、固定する。ヘルメットがメタルスーツの襟と自動的に噛み合い、密着した。ヘルメットのバイザーが降り、生命維持システムが外気有で起動する。上がっていたキャノピーが閉じると同時に格納庫内のエアが抜かれ、正面のハッチが上下に開いた。

 ジャッカルの船首格納庫は、強襲突撃艦のものを流用しているので、外見の割に中身は狭い。そのかわり、戦艦や要塞の外部装甲をぶち破ってもびくともしないと言う装甲の堅さは頼もしい限りだ。

 キムが指示したのだろう、すでにイーグルのシステムは立ち上がっていた。コンディショングリーンの表示がマックの視界の中に飛び込んでくる。

 マックは慣れた動作で動力ジェネレーターを活性化、慣性制御フィールド展開、機体ロック解除、カタパルト・スタンバイをやってのけた。

「マック、そろそろ射程に入る、援護するから気を付けて」

 キムの声が入る、煩わしいので通信用のスクリーンに画像は出ない。

「おう、頼むぜ、ほんじゃ行って来る」

「了解」

 重力カタパルト起動、そして、イーグルは広大な戦闘空間へ放り出された。
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