火星より愛を込めて

イーグルVSウインガル

 イーグルは格納庫から弾き出た途端、戦闘機動をかけて左下へ加速した。僅かに遅れて4機のミニッツが続く。

 ほぼ同時にジャッカルの前部ミサイルランチャーから多弾頭型高速機動ミサイルが4発発射された。

 ミサイルは、展開中の敵編隊に向かって大加速、軽くイーグルを追い越してEFC・102の中へ突入した。4機のうち2機が迎撃され、残りが弾頭を放った。

 1機のミサイルから25発のアクティブ弾頭が弾けた。計50発の弾頭がランダム軌道を描いて10機のウインガルへ群がった。30m級機動戦闘艇は後方にいるため弾頭のセンサーには引っ掛からなかった。

 しかし、ミサイルの弾頭はことごとくウインガルのパルスレーザー機銃で撃ち落とされた。

 プラズマ炸薬の青白い塊が一斉に咲き乱れ空間を焼いた。

 ランダム軌道を描いて来るとは言え、優秀な慣性制御系を持つ空間格闘戦専用機のウインガルには、只向かってくるだけのミサイルなど遅くて相手にならなかった。

 もとより弾幕を張って牽制するつもりだったので戦果は期待していない。

 残留プラズマ塊を引き裂いて、10機のウインガルと2隻の30m級機動戦闘艇が飛び出した。

 突然、先行していたウインガル1機が機体の下方から飛来した光の矢に貫かれ、消し飛ぶ。

 矢は、そのまま光速に限り無く近い速さで虚空へ消え去った。

 亜光速ミサイルだ。

 弾幕によってセンサーが一時的に盲目となっていた各機は、一斉に八方へ散った。
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