火星より愛を込めて
 センサーの回復と同時に、目指すジャッカルのほかに5体の高速移動体を確認、イーグルとミニッツの編隊である。4つの小隊に別れて、それぞれの目標へコースを設定し、アタックを掛けた。

 ジャッカルには30m級機動戦闘艇1、ウインガル2の構成で2小隊、イーグルには残りのウインガル5機が2対3の割合で2小隊、それぞれ異なるコースで襲いかかった。

 マックは、その様子をイーグルのセンサーで捉えながら、付き従っているミニッツに指示を飛ばし散開した。

 マックは推進軸を2機小隊の方へ向け加速した。

 照準センサーが長距離モードで2機を捉える。すかさずロックオン。

 オートシュート。

 イーグルの両翼の根元にある大型のウェポン・ポッドから、亜光速ミサイルが2発発射される。

 2筋の光の矢が赤方偏移しながらターゲットに吸い込まれる。

 何も起きない。

 躱された。盲目状態だった先程とは違い、アクティブセンサーを探知されたようだ。

「ちぃっ!」

 マックは推進軸を左へずらし機体をロールさせた。

 今までイーグルが描いていたコース上にウインガルからのパルスレーザーが交差した。

 不可視の2条のレーザーパルスは、さらにイーグルを追って旋回する。

 ウインガルは推進軸を固定したまま、ターゲットに照準をトレースさせるために機体を自由に旋回させることが出来た。

 慣性制御系の性能が良いので、回転に掛かるGはないに等しい。最初のミサイルを全て撃ち落とせたのはこのためだ。

 それ故、急激な方向転換も容易であった。
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