火星より愛を込めて

ウインガルVSミニッツ

 4機のミニッツは、互いの電子頭脳をリンクさせ、戦闘情報を交換しながらイーグルからの指示通り3機編隊の目標に向かって加速した。

 ミニッツの兵装は、機首の高エネルギーレーザーと両翼のパイロンに下げたプラズマキャノンだけである。比較的軽装だ。

 4機のミニッツは同時に目標を捕捉すると、一瞬で攻撃優先順位を決め散開した。ほんの数メートルという宇宙空間では接触しているのと何ら変わらない間隔で編隊を組んでいたミニッツ達は、同期させいてた慣性制御フィールドを分離させ、1匹の生き物のようにECF・102の編隊へ突入した。

 その加速度は高速ミサイル並みだ。

 しかもとびきり頭の良いミサイルだ。

 展開している3機編隊に対して、各機が適当に攻撃優先順位を決定し、推測コースとランダムコースを入り混ぜて照準を定め、プラズマキャノンで第一斉射を掛けた。

 空間格闘戦では、ずば抜けて優秀なウインガルが、散開し、反撃に出る。

 推進軸に関係なく射軸が目標に対して固定される。

 だが、ミニッツはウインガルからの被ロックオンを受けるととても有人では出来ないような戦闘機動を掛けてランダムコースに突入する。それに合わせようとしてウインガルが狂ったジャイロのように跳ね回る。

 ウインガルのパルスレーザーが1機のミニッツの予測軌道へ迸る。

 が、ミニッツはウインガルの予測を裏切って、不規則ターン。ウインガルのパイロットはそれを追って、コースを変更。システムに再予測させてさらに掃射。

 接近警報。

 気が付けば編隊から大きく外れた機を別の3機のミニッツに囲まれていた。どの機の距離もぴたり同距離。
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