火星より愛を込めて
 ウインガルの自動追尾システムが最優先目標算出の演算に一瞬パニックに陥る。

 機首が大きく振れる。

 その間に3方向のミニッツの機首がすべて向けられ、ミニッツたちはプラズマキャノンをシュート。

 3方向からの高温圧に、ウインガルはガスとなった。

 1機が囮となる巧妙な策だ。

 3機のミニッツは即散開し、次の目標を適当に選び出す。

 その隙を狙って2機のウインガルが挟み込むように、囮となって編隊から離れていた1機のミニッツに接近。

 2方向からパルスレーザーが浴びせられる。

 センサーの死角を突かれての接近に、満足な回避行動が取れないままエンジンと慣性制御系を打ち抜かれ大破、数秒後に爆散した。

 爆散と同時に強力なECM場が発生。2機のウインガルはその中に取り込まれ、盲目状態になる。

 ウインガルの航法管制システムが、完全に自分の位置を見失う。ECM場は航路局の航路基準ビーコン波すら遮断していた。

 パイロットはECM場から抜け出すために手動管制で真っ直ぐに高加速する。

 2秒で抜けた。

 1機が抜けた途端に高エネルギーレーザーを3方から受け慣性制御翼を打ち抜かれた。続いて2撃目が、行動不能に陥って不規則な回転を始めた機体に命中。そのまま機関が停止して、パイロットを乗せたまま宙空へ消えた。

 もう1機も、抜けると同時にレーザーを喰らった。だが、僅かの差で航行管制システムが現在位置の再捕捉に成功。それと同時にECM場の周囲を旋回して待ち構えていたミニッツの運動を把握して回避運動に入った。
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