火星より愛を込めて
 これで商談は成立した。

 マックは通信を切って席を立つと、着ていた革の上着を脱ぎ、仕事用の青いメタルスーツを着た。

 メタルスーツは、普通のスペースジャケットと異なり、特にマックなどの〈何でも屋〉が好んで着る特注品である。

 防弾性、防熱性、耐爆性に優れ、気密性も良く、専用の手袋とヘルメットを着用することにより、簡易宇宙服にもなった。

 マックは、腰のホルスターに、愛用のKV・320大型ブラスターを突っ込んだ。

 KV・320大型ブラスターは、その余りにも大きすぎたパワーによって製造中止となってしまったことで有名な銃だった。

 エネルギー・マガジンとエネルギー・カートリッジの両方が使えるため、少し長めの特徴ある形をしている。

 マックは、S・PACを小脇に抱え、そこからさらに地下50メートルに位置する専用格納庫へ向かうため部屋を出た。
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