火星より愛を込めて
 結局、報酬は50万クレジットまで引き上がったのだが、マックの手元には、前金の2万クレジットを引いて、6万クレジットが残る事になる。

〈早く帰りてぇなぁ〉

 マックがコーヒーを飲み干し、そんなことを考えていた時だった。

 ようやく執務室のドアがスライドし、ミントが入ってきた。

 相変わらず暑苦しい顔をしていた。

「いやぁ〜、お待たせしました。緊急の長距離通信が入ってしまいまして、いや、すいませんねぇ」

 やたらと腰が低い。マックが企業の人間を好きになれない1つだった。しかし、今は依頼主である。我慢する。

 ミントはマックの向かいのソファにどっしりと腰を下ろすと、上着のポケットから、銀色のチェックカードを取り出してテーブルの上に置いた。

「これがお約束の報酬の残り48万と必要経費の振り込み証明書です」

 マックはカードを手に取り、S・PACのスリットに差し込んだ。

 これで42万クレジットと必要経費が労働局へ行き、マックの口座に6万クレジットが入ったことになる。

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