火星より愛を込めて
2 メガロポリス・パニック

メガロポリス

 火星、メガロポリス宇宙港。

 そこは、恒星国家ソルで1番広大な宇宙港である。

 地上だけで1300もの各種離着陸床があり、地下に格納されたものも含めると、その数は7千を越える。

 ジャッカルは、緊急時や滑走路の設備がないとき以外は、水平型の離着床を利用していた。

 5000メートルある第2滑走路へ下り立ったジャッカルは、ゆっくりと牽引機に引かれて、離着陸床に導かれた。

 すぐに出る予定なので、地上のドックを割り当ててもらった。

 すでに入星手続きは、軌道上で済ませている。

 手続きと言っても、管理官にエキスパート・カードを掲示しただけだった。

 エキスパート・カードを持っていれば、どんな星でもほぼフリーパスで入ることができる。

「予定より早く着いちまったな」

 マックは、操縦系をシステムダウンして、キムに同意を求めた。

「そうですね、多少航路が違ったようですけど」

「気にするな、悪いのは航路局だ。あんな経済航路じゃ丸1日かかっちまう」

 キムは、苦笑して船内チェックを終え、メガロポリス・コントロールに、着床を報告した。

「さて、飯でも食ってから連絡入れるか」

 マックは、そう言って操縦室を出ていった。未だ2万クレジットの事を気にしているようではあったが。

「さて、こちらも一休みするかな」

 キムもそう呟き、1階層下にあるリビングルームへ下りていった。
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