きっと好き
私が早足になると、足音も早くなった。
もぅ、いっそのこと、変質者に殺して貰おうか。
そんな思いが頭をよぎった時、腕をその人に掴まれた。
「っ!!!」
やっぱり死にたくない!!!
体が反射的に掴まれた腕を振り上げると
「あ、やっぱりひかるだ。」
背の高い、黒縁メガネの男が私を見ていた。
手に紙袋を持っていて、いかにも“凶器入ってます”って感じ。
「な、な、な、何デスカ。」
怖くて怖くて、声が上手くでない。
さっきまで泣いてたのと、寒いのと、恐怖で鼻水が垂れてきた…。
「……ぶっ あはっ、あははは…ひかるぅ、おもしろすぎっ!」
………ん?
なんだ?
もしや?
「……………神谷?」
目の前の人は、まだ笑ってる…。
「ちょっと、いつまで笑ってんの!?」
「あははは…っごめ……腹痛いー」
変質者だと思ってた人は
メガネを掛けた神谷だった。