きっと好き
ったく、なんてタイミングなんだ。
今日の私はとことんツイてないらしい。
「…こんなとこで、何してんの?」
「ん?ひかるが、呼んでんじゃないかなぁ…と思って。」
暗くてよく見えないけど、神谷は今、満面の笑みだとおもう。
「………呼んでないよ。」
「いや、うん。昨日カーディガン返すの忘れてたから……って、ひかる泣いてる?」
やばっ!!
と思って素早く神谷に背を向ける。
今、絶対に顔ぐちゃぐちゃだもん。
「泣いてません。カーディガン返して。で、さっさと帰って。」
本当に早く帰って。
また、泣きそうだから。
「……嫌な話だったの?」
「神谷には関係ないっ」
振り向いて、神谷が持っていた紙袋に手を伸ばすと
「わっ…!」
その手を引っ張られて、私はあっという間に神谷の腕の中にいた。
「…ちょっ…何!?離して!!」
じたばたしても全く意味がない。
「やだ。離さないもん。」
神谷は強く、私を抱きしめた。