きっと好き
チラチラ私を見て、何か言いかけて、止めてテレビを見る。
さっきから神谷がこの運動を繰り返してる。
「………何?」
「…いや、なんでもない。」
多分、私が泣いた理由がそろそろ聞きたいんだと思う。
でも何となく聞けない。多分そんな状況。
「…神谷は、自分のお父さんが浮気してたらどうする?」
「するわけないよ。する暇がないもん。」
「…もしも の話だってば。」
こんなにすぐに断言してしまうって言うことは、
神谷のお父さんはきっととても良い人なんだろう。
「…うーん。ひっぱたく?」
「そっか。」
私は逆ギレされて、叩かれたんだけどね。
「………もしかして、ひかるのお父さん…?」
「わかんない。でも、女の人を連れて来て、将来は一緒に住みたいって言われた。」
「…それで、泣いてたの?」
「……違うよ。」
それもあるけど。
「逃げ出したことが悔しくて、泣いた。」