きっと好き
"チンッ"
という可愛い音と共に2枚の食パンが飛び上がる。
「はい、どうぞ。」
「「ありがとう。」」
神谷のお父さんとハモってびっくりする。
このパン私のじゃないんじゃ…?
と思って赤面すると、
「こら、このパンはひかるの。」
って神谷がお父さんの手を払いのけた。
「パンくらい自分でやいてよねー。」
「ちぇー」
…仲良いんだなぁ。
ウチではあり得ない。この会話量。
「“ひかるちゃん”だっけ…?」
食パンをトースターにセットしながら話しかけられた。
「はい。瀬合ひかる です。」
「おウチ、大変なんだって?」
「……へ?」
……何で知ってんの?
「あぁ、岳に聞いたの。」
そう言われて神谷を見ると、
神谷はイチゴジャムをたっぷり塗ったトーストを頬張りながら微笑んだ。
「オジサン、出来ることある?」
「…いえ、もう、今回泊めて頂けただけで十分です。
ありがとうございます。」
なんて優しいんだろう。
私の父親とは大違いだ。