きっと好き



「…いいけど。
…なんか、嫌な事でもあったの…?」




神谷は繋いだ手をじっと見たまま動かない。




「…一応さ…………今は彼女なんだから、悩みとか、相談してほしい。」




……こっち向け、神谷。
どんな顔してる…?










「…わっ……!!」


急に手を引っ張られて抱きしめられた。



「な………っ!?」



神谷が座っているから神谷の頭が私のお腹のあたりで、神谷の腕が腰に回る。







「……ひかる。」


「…な、なんでしょう?」



「…俺……どうすればいいのか分かんなくなって……」





……こんな弱い神谷を見るのが初めてで、苦しくて、ドキドキして、何が何だか分からなくなって


気づけば私は、神谷の頭にそっと触れていた。




ピクッと神谷がそれに反応したから


「人は、人の温かさを感じると安心するんでしょう?」


って言ったんだ。



すると神谷は私のブレザーをキュッと掴んで

「…うん。」

って呟いた。

まるで小さな子供みたいに。













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