きっと好き



知らない。




「…ほら、あんたは岳の事、何も知らない。知ろうともしない。
…おめでたいヒト。」





……どういうイミ?





「お前、またストーカーみたいな事してんのかよ?」


「好きなんだもん。」




島田さんが即答したと思ったら「はぁ」と平井君がため息をついて



「あんま、意地悪すんなよ。」


そう言って、私の手を引いた。



























“おめでたいヒト”



頭の中でぐるぐるまわる。





「…気にすんな?」

平井君の声でハッとする。

すると平井君もハッとして、私から手を離した。






「…ご、ごめん。」


急にモジモジしだした平井君がおもしろくて笑ってしまった。




「あははっ…。平井君……ありがとう。

私、1人じゃ何もできないね…。」


「そんな事ない。瀬合は強いよ。」





首の後ろを掻きながら、照れくさそうにそう言って



「…神谷、待ってんじゃないの?」





背中をトンと押してくれた。








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