きっと好き
「じゃ、明日は頑張ろうなぁー」
教室の前で平井君が手を振る。
「…うん。バイバイ。」
私は、球技大会で頑張るつもりはないのだけれど…。
教室に入ると、耳にイヤホンをして窓の外をボーッと眺める神谷。
夕焼けのオレンジが、教室を支配して、神谷のシルエットを浮かび上がらせていた。
…声をかけることができない。
神谷が遠くに感じられて。
「…あ、ひかる。おかえり。」
片方のイヤホンを外してニッコリ微笑む神谷を見て、胸の辺りがキュッと縮む。
「た、ただいま。」
「うん。帰ろっか。」
また、キュッ。
好きって多分、こうなる事だ。