きっと好き
「長かったね、準備。」
「あ、うん。ちょっと…ごちゃごちゃしちゃって…。」
「ふーん。」
私もこんな風に聞いたらいいのに。
“いつも、私と帰った後、何してるの?”
聞けばいいのに。
“おめでたいヒト”
きっと良いことじゃないんだろう…。
「ひかる、元気なくない?」
「えっ!? 元気元気。いつも通り!」
神谷が急に顔を覗きこんできたからビックリした。
心臓の音が頭の中で響く。
「そ?なら、いいけど。」
そう言うと、神谷はそっと左手を差し出す。
私は
右手で彼の手をとる。
ねぇ、神谷?
私は怖いんだ。
この手を離せば
本当の事を聞けば
好きだという事を伝えれば
きっと
今のままでは
いられないから。