きっと好き
「…今まで本当にありがとう。」
家の前で深々と頭を下げる神谷の姿を見る私の頭の中はスカスカだった。
「…じゃ。」
目も合わさずに去っていく神谷を
「神谷……!!」
呼び止めずにはいられなかった。
「………ん?」
このとき、ちゃんと伝えれば
何か変わっただろうか
好きだと言えれば
何か変わっただろうか
「………なんでもない。じゃあね」
意気地無しの私には、無理だった。
そのまま家に駆け込んで、自分の部屋に飛び込んだ。
それから
母が亡くなった時のように
涙が枯れてしまうまで泣き続けた。
神谷の好きな人には
なってはいけないのだった。
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