きっと好き
言われた通りにカーディガンを着る神谷の動きがぎこちない。
やっぱり小さいみたいだ。
「……伸びちゃうよ。これ、ひかるの?」
「ううん。兄の。」
「お兄さんがいるのかぁ…」
と呟きながらカーディガンの裾をキユッと引っ張る
「ありがとう。あったかい。また明日返すね」
神谷はそう言ってドアを開けようとした。
「…神谷」
神谷が顔だけをこっちに向けた。
「今日、来てくれてありがと。…ちょっと元気でた。」
神谷が実はいい奴って事もわかったし。
明日からは少しだけ、仲良くしようと思った。
すると神谷は体をくるりとこちらに向けた。
「ひかる」
「…なに?」
というか、顔が近い。
玄関の段差のお陰で目線の高さが同じになる。
「…ちゅーしていい?」
「は!?いいわけないでしょ!!」
何なんだ突然。
「だよね~」
と言って、神谷は
私の頬にキスをした。