失った恋
「ありえない!!」
隣の席の翠が騒ぎだした。
翠は、黙っていればそこそこ可愛いけど
口が悪くてうるさい。
「普通、男子とおかず交換したりする!?」
信じられない!!と言いたげな顔で言ってくる。
「だって、ねえ。」
曖昧な返事をした。
私も、こういうことをするのは瞳が初めてだった。
瞳にとっては、これが普通なんだろう。
でも、中一という思春期真っ盛りの私たちには普通じゃないように思う。
瞳は別だけど。
しばらくすると、瞳がまた私のお弁当を凝視している。
瞳の視線の先には、から揚げ。
これもかよ!!
と、思いつつあげる私は、甘いのか、優しいのか、お人好しなのか、何なのか・・・