失った恋



体育祭で忙しいって言うのに、愛子ちゃんも休み時間はいつも私のクラスに来る。


瞳に会うために。

でも瞳は意識してないのか、気付いてないのか、相手にしてないのか・・・

愛子ちゃんも、何のアピールもしないし・・・



でも、今日だけは違った。




昼休み終了のチャイム鳴り、自分の教室に戻ろうとしている愛子ちゃんを、瞳が目で追っていた。



「可愛いと思った?」


つい、勢いで聞いてしまって後悔した。

何か、私が気にしてるみたいじゃん!!



「いや、ぽっちゃりした人だなあと思って。」



思ったらだめだろ!!

確かに、最近愛子ちゃんもちょっと太ったって言ってたけど!



「ひどいひどい。」


結局笑い話になる。
こんな私たちは、ひどい人間。

瞳の反応にちょっと安心してる私は、もっとひどい人間。
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