ふた恋~雨が上がれば~
1章

浮気

「じゃあね、バイバイ」


「また明日」


大学の授業が終わり、親友の美香とお茶をしたカフェを出て家に戻る。


「あっ、傘買っていこうかな」


もう梅雨の時期だというのに、私は傘を持っていない。


折りたたみ傘は持っているんだけど、大きな傘はこの前来た台風で壊れてしまった。


「さすがに、この時期に折りたたみじゃ厳しいもんな。明日も雨だって言ってたし」


空を見上げれば、すでに雨が降りそうなくらい真っ暗になっている。


私は近くのデパートに入り、傘売り場に向かった。


「たくさんあるな~」


ズラリと並ぶ傘に、目移りしてしまう。


「あっ、私の名前と一緒の色だ」


最初に目に入ったのは、私の名前と同じ瑠璃(るり)色の傘。


「でも、もっとカワイイのがいいな」


いろいろ見て回り、結局私が買ったのは、ベージュに黒猫がプリントされ、ふちがレースになっているカワイイ傘。
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