ふた恋~雨が上がれば~
裕也は、どんな風に私のことをレイラに紹介したんだろう?


「もうすぐ別れるから」って言ったのかな?


「ねえ、瑠璃ちゃん。いいわよね?」


レイラって、普段は別のモデルやスタッフさんに気を使える、とっても優しい人なのに、でもそれは猫を被ってただけだったの?


本当は、彼女がいる男の人とベッドに入れるような人だったんだ。


「瑠璃、悪いけど、出て行ってくれる?」


レイラが口をつけた煙草を、今度は裕也が吸う。


「裕也は、もう私のこと好きじゃない?」


「ああ」


「……そっか。そうなんだ」


涙で目の前が滲んでくる。


「分かった。荷物とか、今すぐには全部は無理だけど、少しずつ片付けるね」


なんとかそれだけ笑顔で言うと、涙が溢れる前に、少しだけ急ぎ足で寝室を出た。


「もう、ヤダ……」


裕也とレイラの前で泣いたら、それで負けだと思った。
< 11 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop