ふた恋~雨が上がれば~
「タオル?」


布団に落ちたタオルを拾うと、少しだけ濡れていた。


「なに?ここ、どこ?」


部屋をグルっと見回すと、ベッドの反対側には机と椅子、ベッドの頭の方には備え付けのクローゼットがあった。


そしてベッドの頭の近くには小さな丸テーブルが置いてあって、その上には水を張った洗面器が置いてある。


「服っ!」


慌てて自分が着ているものを確認する。


「ウソ……」


私が着ていたワンピースは誰かの手によって脱がされていて、かわりに自分の体より大きいスエットを着せられていた。


「逃げなきゃ」


なんだか自分がとんでもないところに連れ込まれた気がして、慌ててベッドから抜け出す。


「あっ……」


でもその瞬間目眩に襲われ、私は力なく床に座り込んでしまった。


「なんか、ダルい」


自分の体に異変を感じて、おでこに手を置いてみる。
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