ふた恋~雨が上がれば~
「熱い、かも?」


もしかしたら、昨日雨に濡れて熱が出たのかもしれない。


でも熱があるなら自分の手も熱くなってるはずだから、おでこに手を置いても熱があるのか分からないけど。


目を閉じて、深呼吸をする。


ゆっくりと立ち上がると、もう目眩はしなかった。


「よし、行ける。……あっ」


そう思って一歩踏み出したのと同時に、部屋のドアが開いた。


ドアから顔を覗かせた男の人と、バッチリ目が合ってしまう。


「あっ……。えっと」


どうしていいか分からず一歩後ろに下がると、ベッドにぶつかって布団の上に尻もちをついてしまった。


男の人が、ドアを開けたまま中に入ってくる。


知らない部屋、知らない男の人に恐怖を感じて、私はベッドの上を後ずさった。


でもすぐに壁に当たってしまう。


どうしたらいいかとキョロキョロと周りを見回す。


でもそんなことをしているうちに、男の人は私が乗っかっているベッドにお尻だけ乗せて座った。
< 16 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop