ふた恋~雨が上がれば~
「今日の夜から雨か。じゃあ、早速使えるな」


スマートフォンで天気を確認して、デパートから駅に向かった。


雨は嫌いだけど、新しい傘を使えると思うとなんだかウキウキしてくる。


「あっ、そうだ。たしかもう帰ってきてるよね」


駅への道を歩きながら、彼氏の裕也(ゆうや)へ電話を入れる。


裕也は8歳年上の彼氏で、私が大学2年の二十歳になったころから同棲している。


今私は大学4年の21歳だから、1年ちょっと一緒に住んでることになるかな。


裕也はもともと幼なじみのお兄ちゃんで、気がついたら常に一緒にいる存在だった。


一緒に暮らし始めた理由は、私がおばあちゃんと大きな喧嘩をしたから。


私には、両親がいない。


父親は小さい頃に亡くなっていて、母親は私が10歳のときに家を出て行った。


それから私はおばあちゃんと二人暮らしをしていたんだけど、大学2年のある日、おばあちゃんと大喧嘩をして家を飛び出して、裕也が一人暮らしをしてるマンションに転がり込んだのね。


そのときに、「俺はお前を妹以上に思ってる。一緒に暮らすか?」って言われたの。


私も裕也のことが好きだったんだけど、その言葉を言われるまで裕也は私のことを妹以上には思ってないと思ってたから、恋人になることは諦めてた。


だからその言葉を聞いてすごく嬉しくて、すぐに首を縦に振った。
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