ふた恋~雨が上がれば~
「タクシー呼ぶから、ちょっと待ってて」


ダイニングにあるテーブルからスマホを持ち、タクシー会社に電話を掛ける矢野さん。


「すぐに来るって。外行こうか」


「はい」


矢野さんに続いて、玄関に向かう。


「靴、乾いてると思うよ」


「ありがとうございます」


昨日履いていたパンプスに足を通す。


私が眠っている間に乾かしてくれたのか、パンプスを履いても足は濡れなかった。


外に出て、エレベーターを使って下に向かう。


外に出ると、自然が多い静かな場所だということが分かった。


矢野さんが住んでるマンションも、あまり高さがあるものではなかったけど、高級感が漂っていた。


「来たみたいだね」


矢野さんと同じ方向に視線を向けると、こっちに向かってくる一台の黒いタクシーが見えた。


そのタクシーが、静かに私たちの前に止まる。
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