ふた恋~雨が上がれば~

友達

「はい、着きましたよ」


「ありがとうございます」


祐也のマンションの前で、タクシーが止まる。


お釣りをもらって、タクシーを下りた。


大きく深呼吸をしてお釣りをギュッと握り、普段ならICカードで開けるエントランスのドアも、今は何も持っていないからエントランスのインターホンで祐也を呼び出した。


昨日は早く仕事が終わり、今日は午後から仕事だって言ってたから、祐也はまだ部屋にいるはず。


もしかしたらレイラと一緒かもしれないけど……。


『はい』


しばらくして、インターホンの向こうからどこか眠そうな祐也の声が聞こえてきた。


「私、瑠璃。開けてくれる?」


『あー開ける』


カチャっとインターホンが切れる音がして、すぐにエントランスのドアが開いた。


もう一度深呼吸をし、背筋を伸ばし中に入る。


エレベーターに乗り、祐也の部屋がある階まで上がった。


廊下を少し歩き祐也の部屋の前まで行き、震える指でインターホンを押した。
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