ふた恋~雨が上がれば~
一瞬の間のあと、カチャッとドアが開く。


中から出て来た祐也は、今まで眠っていたのか、スエット姿で寝癖もついていた。


「ん」


ドアを完全に開け、私が入るスペースを開けてくれる祐也。


玄関に一歩足を踏み入れレイラの靴がないことを確認して、家に上がる。


背中の方からドアを閉める音が聞こえた。


「鞄、昨日のままだから」


「分かった。寝室、入っていいよね?」


「ああ」


後ろから話しかけてくる祐也に、前を向いたまま返事をする。


そのまま廊下を突き進み、寝室のドアを開けた。


祐也が寝ていたせいもあってか、カーテンの閉め切られた寝室は真っ暗だった。


パチっと電気のスイッチを押し、入口付近に落ちているカバンや教科書を拾う。


「部屋の鍵、返す?」


「別にいつでもいいけど」
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