ふた恋~雨が上がれば~
「うん、まあそうなんだけど……」


美香に昨日あったことを詳しく話す。


「ちょっとそれヤバくない?本当になんにもされてないの?」


カチンと音を立ててお皿にフォークを置いた美香。


「怪しいって。絶対何かされてるよ!」


「そんなこと、ないと思うけど」


親切にしてくれた矢野さんのことを思い出すと、どうしても美香に反抗してしまう。


「確かに、ちょっと怪しいかもしれないけど。でもほら!ちゃんと名刺もらったし」


お財布の中に入れていた矢野さんの名刺を、美香に見せる。


「フリーカメラマンね~」


名刺を見ながら、また食事を始めた美香。


「矢野さんって、美香知ってる?」


「うーん……」


そういう世界に身を置いてる美香だから、矢野さんのことを知ってるんじゃないかと思って聞いてみる。


そしたらパスタを口に頬張りながら、美香は考えてる表情を見せた。
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