ふた恋~雨が上がれば~
「この人の顔写真とかないの?」


「うーん、それがこの人メディアに出るのが嫌いらしくてさ。私もネットとかで検索してみたんだけど、1枚も顔写真出てこなかったんでよね」


「そっか」


美香の言葉に頷いて、またオムライスを食べ始める。


「てか、本当になにもされてない?」


「うん。帰りのタクシー代まで出してくれた。もしまた会う機会があれば返してくれればいいって」


「怪しいな~まあでも、何かあればこんな風に普通に会話出来ないか」


そう言って美香は写真集を鞄にしまい、飲み物を口にした。


「瑠璃、これからどうするの?実家帰る?」


「うん。そうするつもり」


「そっか。てか、家来る?実家から通うより近いでしょ」


「えーいいよ。悪いもん」


美香は大学から2駅離れたところにあるアパートで、一人暮らしをしている。


何度か遊びに行ったり泊まらせてもらったこともあるけど、白を基調としたシンプルな部屋で、すごく居心地がよかった。


「本当にいいの?撮影スタジオだって、遠くなるよ?」
< 40 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop