ふた恋~雨が上がれば~
「おかえり。急にどうしたんだい?」


何も連絡なしに帰ってきたのに、おばあちゃんは笑顔で迎えてくれる。


「うーん、ちょっと祐也といろいろあって……」


「喧嘩かい?」


「それがね」


おばあちゃんと一緒に、居間に向かう。


「うーん、久しぶりの畳だ」


「コラ、瑠璃。はしたないからやめなさい」


「はーい」


畳に寝転ぶと、すかさずおばあちゃんに注意される。


おばあちゃんは茶道の先生だから、しつけに厳しい。


70歳代にもかかわらず、背筋はピンとしてるし、物忘れなんてこれっぽっちもない。


おばあちゃんは、「生涯現役」が口癖なの。


「それで、どうして帰ってきたの?」


「おばあちゃん、あのね。また私、ここに住んでいい?」
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