ふた恋~雨が上がれば~
でも、すぐには開けられなかった。


頭の中で、誰かが「開けちゃダメ。開けたら、見たくないものを見てしまう」って警告音を鳴らしている。


ドアノブから手を放し、大きく深呼吸をする。


そしてもう一度ドアノブに手を置き、意を決してドアを開けた。


寝室の中は、真っ暗だった。


「裕也?」


そっと声をかけ、寝室のドアのすぐ近くにある電気のスイッチを押した。


部屋の中がパッと明るくなる。


「うそ……」


そこで私が見たものは、裕也とレイラがベッドの上で抱き合って眠ってる姿。


体には布団がかかっているから、本当に抱き合ってるのかは分からないけど、でも顔が向き合ってるってことはそういうことなんだろう。


「ど……して?」


ベッドで眠っている男女、その二人がただ抱き合って眠っているだけではないことは、簡単に想像がつく。


その証拠に、ベッドの回りには、裕也が今朝着ていった服と、レイラものだと思われるワンピースが脱ぎ捨てられていた。


「やっぱり、そういうことなの?」
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