ふた恋~雨が上がれば~
「裕也、何してるの?」


「浮気?」


勇気を振り絞って裕也に声を掛けたけど、返ってきたのは気のない返事。


「浮気って……。裕也、言ったよね?あれは、たまたま撮られたって」


嘘をつかれ、浮気をされた事実に、声が震える。


「あーあれは本当。でも、そのあと撮影で会って何か盛り上がちゃってさ。おもしろいから付き合っちゃう~って」


「なに、それ……」


浮気をしたというのに、裕也からは悪いことをしたとか、慌てるとか、そんな様子が一切見られない。


それどころか、とても優しい顔をして、眠っているレイラの頭をなでている。


「なあ、瑠璃」


「な、に?」


レイラの頭をなでていた手を止め、フーと煙草の煙を吐き出した裕也は、その煙草を灰皿に押しつけ、新しい煙草に火をつけた。


「俺たち、別れよっか」


また煙草の煙が、天井に登っていく。


「ど、して?」
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