ある聖夜の物語《短》
タキの体はとても温かくて、まるで布団に包まれているような気分になった。
「ノエ……?」
耳元で聞こえる少し震えたタキの声。
伝わってくる心臓の動きがとても早くて、そのリズムが今の私にはとても心地好くて。
「ね、ねむ……い」
このまま眠ってしまいたかったけれど、私はなんとかその一言を絞り出した。
もう限界を通り越していた私は、タキに抱き着いたまま眠ろうと思った。
タキには悪いけれど今日は飲み過ぎていた上に、さっきこけかけたせいで余計にアルコールが回っているらしい。
私がぎゅっと抱き着くと、タキは困惑したように背中に腕を回してくれた。
その腕は完璧な安心感を私に与えてくれて、私は一気に夢の世界へと引き込まれる。
「マジかよ」
夢の世界に落ちる寸前。
そんな声が耳に届いたけれど、それについて尋ねる間もなく。
私はタキに抱き着いたまま、完全に夢の世界へと落ちていった。