【短編】アタシは商品
「それは、僕じゃなくてクライアントさんに言って下さい。
僕だって、今日何十人ものモデルに囲まれて凄い居づらかったんだから」
ため息を付きながら喋る彼。
20代女子に囲まれた冴えないアラサー男の姿を想像したら、なんだか笑えてきた。
「あははっ。
それはちょっと傍目に見てみたいかも!」
自然と笑いが込み上げてきた。
おばあちゃんの事で物凄く沈んでいたのに……。
明日から笑えるか不安だったのに……。
作り笑顔じゃなくて、自然と笑えたんだ。