【短編】アタシは商品
――そんな説明から数ヶ月。
アタシは淡々と仕事をこなしていた。
駆け出しモデルのアタシの仕事は大手スーパーの衣料品のモデルだったり、服や化粧品をネット通販している会社の小さな被写体の仕事ばかりだったけど……。
それでも、それなりに仕事をこなしていた。
あのマネージャーとは電話やメールでやりとりするぐらい。
基本的に売れない新人の内は、一人のマネージャーが何人もの女の子のスケジュールを管理するというスタンス。
芸能人みたいに一人のマネージャーがずっとベタ付けなんて、夢の話だ。
『明日の現場は、10時に〇〇スタジオで、ピックアップは代理店の〇〇さんに……』
明日の詳細を電話越しに彼が読み上げ、アタシはそれを確認する。
特に何も発展なんかあり得ないと思ってた。
……あの日までは。