【短編】アタシは商品
慌てて病院に駆けつけたアタシを待っていたかのように……おばあちゃんは、アタシの顔を見ると微笑んだ。
それがアタシが見たおばあちゃんの最後の笑顔だった。
家に帰り、ぺたんと力の抜けた人形の様に、リビングの床に座り込んだ。
――実感が湧かない。
――信じられない。
母親は、親戚に電話をしたりしてバタバタと動き回っている。
父親は、葬儀社の人となんだか打ち合わせを初めていた。。。
みんな悲しいのに、悲しむ余裕なんてないんだ。
その姿がなんだか寂しかった。
(あっ……明日からの仕事……)
アタシは、携帯を取り出してマネージャーに電話をする事にした。