【短編】アタシは商品
だけど、何万人というお客様の前でステージに立てるチャンスなんか年に数回しか無い。
――モデルの憧れの舞台。
やりたかった仕事だった。
『お葬式の日程はどうなってます?』
「明日がお通夜で、あさってが告別式なんです」
『あ~…なるほど。
……お客さんと、話してから折り返します。』
困った様なマネージャーの声。
いつもの面倒くさそうな感じが、より一層増した感じがした。
(この仕事、バラしになるかな……)
バラしというのは、仕事をキャンセルされる事。
電話を切ると、アタシは手帳を見ながらため息をつく。