【短編】アタシは商品

だけど、何万人というお客様の前でステージに立てるチャンスなんか年に数回しか無い。


――モデルの憧れの舞台。
やりたかった仕事だった。


『お葬式の日程はどうなってます?』


「明日がお通夜で、あさってが告別式なんです」


『あ~…なるほど。
……お客さんと、話してから折り返します。』


困った様なマネージャーの声。
いつもの面倒くさそうな感じが、より一層増した感じがした。


(この仕事、バラしになるかな……)


バラしというのは、仕事をキャンセルされる事。
電話を切ると、アタシは手帳を見ながらため息をつく。


< 9 / 60 >

この作品をシェア

pagetop