‐ヤンデレ達と私‐

先生は顔を赤くしたまま、車の運転をしている。


「先生」


「なに?」


「先生は‥」


そこまで言いかけて言葉を詰まらせる、お兄さんなの?と聞く勇気がない。


だってあの時のお兄さんと先生は顔は似ているけど、色々なものが違いすぎるから。


「何言うか‥忘れちゃいました、すみません」


「いや、大丈夫だよ」


先生はニッコリ笑うと、道路を左折した。


そういえば何を食べに行くのだろうか?何も聞いてないな。


「先生、何食べに行くんですか?」


「オムライスの美味しい店があるんだけど‥そこでも良い?」


「はい、寧ろ嬉しいですっ」


先生は私がオムライスが好きって知っていたのかな?


「先生」


「ん?」


「先生は彼女とかは居ないんですか?あんまり忙しいと大変ですよね」


そう言って笑うと先生は真面目な顔をして、私をちらりと見る。


「恋人なんて、居ないよ‥」


「え?居ないんですか?」


今話題の若手小説家、モテない訳がないと思うんだけど‥先生はあんまり興味ないのかな?


でも、28歳なら結婚とかも考えていいんじゃないか‥?


私は窓の外に視線を戻し、新緑が綺麗だな‥と心の中で呟いた。



_
< 20 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop