‐ヤンデレ達と私‐
先生は顔を赤くしたまま、車の運転をしている。
「先生」
「なに?」
「先生は‥」
そこまで言いかけて言葉を詰まらせる、お兄さんなの?と聞く勇気がない。
だってあの時のお兄さんと先生は顔は似ているけど、色々なものが違いすぎるから。
「何言うか‥忘れちゃいました、すみません」
「いや、大丈夫だよ」
先生はニッコリ笑うと、道路を左折した。
そういえば何を食べに行くのだろうか?何も聞いてないな。
「先生、何食べに行くんですか?」
「オムライスの美味しい店があるんだけど‥そこでも良い?」
「はい、寧ろ嬉しいですっ」
先生は私がオムライスが好きって知っていたのかな?
「先生」
「ん?」
「先生は彼女とかは居ないんですか?あんまり忙しいと大変ですよね」
そう言って笑うと先生は真面目な顔をして、私をちらりと見る。
「恋人なんて、居ないよ‥」
「え?居ないんですか?」
今話題の若手小説家、モテない訳がないと思うんだけど‥先生はあんまり興味ないのかな?
でも、28歳なら結婚とかも考えていいんじゃないか‥?
私は窓の外に視線を戻し、新緑が綺麗だな‥と心の中で呟いた。
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